*** 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約) (抄)***
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1989年11月20日 国際連合第44回総会にて採択 
1994年5月22日 日本批准
前文   この条約の締約国は、  国際連合憲章において宣明された原則によれば、 人類社会のすべての構成員の  固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、  正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、  国際連合加盟国の国民が、国際連合憲章において、 基本的人権並びに人間の尊  厳及び価値に関する信念を改めて確認し、かつ、 一層大きな自由の中で社会的  進歩及び生活水準の向上を促進することを決意したことに留意し、  国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、 すべての人は  人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社  会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしに同宣言及び同  規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合  意したことを認め、 国際連合が、世界人権宣言において、 児童は特別な保護及  び援助についての権利を享有することができることを宣明したことを想起し、  家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員特に児童の成  長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受け  ること児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で  幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、  児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであ  り、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、  寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、  児童に対して特別な保護を与えることの必要性が、1924年の児童の権利に関する  ジュネーヴ宣言及び1959年11月20日に国際連合総会で採択された児童の権利に関  する宣言において述べられており、また、世界人権宣言、市民的及び政治的権利  に関する国際規約(特に第23条及び第24条)、経済的、社会的及び文化的権利に  関する国際規約(特に第10条)並びに児童の福祉に関係する専門機関及び国際機  関の規程及び関係文書において認められていることに留意し、  児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神  的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保  護及び世話を必要とする。」ことに留意し、  国内の又は国際的な里親委託及び養子縁組を特に考慮した児童の保護及び福祉に  ついての社会的及び法的な原則に関する宣言、少年司法の運用のための国際連合  最低基準規則(北京規則)及び緊急事態及び武力紛争における女子及び児童の保  護に関する宣言の規定を想起し、  極めて困難な条件の下で生活している児童が世界のすべての国に存在すること、  また、このような児童が特別の配慮を必要としていることを認め、  児童の保護及び調和のとれた発達のために各人民の伝統及び文化的価値が有する  重要性を十分に考慮し、  あらゆる国特に開発途上国における児童の生活条件を改善するために国際協力が  重要であることを認めて、  次のとおり協定した。 第1部 第1条(児童の定義)  この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。  ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したもの  を除く。 第2条(差別の禁止) 1.締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保   護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、   種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、   いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。 2.締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明   した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確   保するためのすべての適当な措置をとる。 第3条(児童の最善の利益の考慮) 1.児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉   施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであって   も、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。 2.締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の   者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保す   ることを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。 3.締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安   全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督   に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。 第4条(立法・行政その他の措置)  締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法  措置、行政措置その他の措置を講ずる。締約国は、経済的、社会的及び文化的権  利に関しては、自国における利用可能な手段の最大限の範囲内で、また、必要な  場合には国際協力の枠内で、これらの措置を講ずる。 第5条(親その他の者の指導の尊重)  締約国は、児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり、父母若  しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成  員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達し  つつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利及び義務  を尊重する。 第6条(生命への権利、生存・発達の確保) 1.締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。 2.締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。 第7条(名前・国籍をもつ権利) 1.児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利   及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知り   かつその父母によって養育される権利を有する。 2.締約国は、特に児童が無国籍となる場合を含めて、国内法及びこの分野におけ   る関連する国際文書に基づく自国の義務に従い、1の権利の実現を確保する。 第8条(身元の保全) 1.締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及籍、氏名及び家族関係   を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊   重することを約束する。 2.締約国は、児童がその身元関係事項の一部又は全部を不法に奪われた場合には、   その身元関係事項を速やかに回復するため、適当な援助及び保護を与える。 第9条(親からの分離の禁止及びその例外) 1.締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確   保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用の   ある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決   定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若し   くは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければなら   ない場合のような特定の場合において必要となることがある。 2.すべての関係当事者は、1の規定に基づくいかなる手続においても、その手続   に参加しかつ自己の意見を述べる機会を有する。 3.締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方か   ら分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触   を維持する権利を尊重する。 4.3の分離が、締約国がとった父母の一方若しくは双方又は児童の抑留、拘禁、   追放、退去強制、死亡(その者が当該締約国により身体を拘束されている間に   何らかの理由により生じた死亡を含む。)等のいずれかの措置に基づく場合に   は、当該締約国は、要請に応じ、父母、児童又は適当な場合には家族の他の構   成員に対し、家族のうち不在となっている者の所在に関する重要な情報を提供   する。ただし、その情報の提供が児童の福祉を害する場合は、この限りでない。   締約国は、更に、その要請の提出自体が関係者に悪影響を及ぼさないことを確   保する。 第10条(家族の再会) 1.前条1の規定に基づく締約国の義務に従い、家族の再統合を目的とする児童又   はその父母による締約国への入国又は締約国からの出国の申請については、締   約国が積極的、人道的かつ迅速な方法で取り扱う。   締約国は、更に、その申請の提出が申請者及びその家族の構成員に悪影響を及   ぼさないことを確保する。 2.父母と異なる国に居住する児童は、例外的な事情がある場合を除くほか定期的   に父母との人的な関係及び直接の接触を維持する権利を有する。このため、前   条1の規定に基づく締約国の義務に従い、締約国は、児童及びその父母がいず   れの国(自国を含む。)からも出国し、かつ、自国に入国する権利を尊重する。   出国する権利は、法律で定められ、国の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは   道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり、かつ、この条約   において認められる他の権利と両立する制限にのみ従う。 第11条(国外不法移送・不返還の禁止) 1.締約国は、児童が不法に国外へ移送されることを防止し及び国外から帰還する   ことができない事態を除去するための措置を講ずる。 2.このため、締約国は、2国間若しくは多数国間の協定の締結又は現行の協定へ   の加入を促進する。 第12条(意見表明権) 1.締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすす   べての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合に   おいて、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮される   ものとする。 2.このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手   続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しく   は適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。 第13条(表現・情報の自由) 1.児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には口頭、手書き若し   くは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりな   く、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。          2.1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その   制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに   限る。  (a) 他の者の権利又は信用の尊重  (b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護 第14条(思想・良心・宗教の自由) 1.締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。 2.締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護   者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及   び義務 を尊重する。 3.宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安   全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を   保護するために必要なもののみを課することができる。 第15条(結社・集会の自由) 1.締約国は、結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童の権利を認める。 2.1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共   の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由   の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課すること   ができない。 第18条(親の第一次的養育責任に対する援助) 1.締約国は、児童の養育及び発達について父母共同責任を有するという原則   についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定   保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最   善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。 2.締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保   護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当   な援助 を与えるものとし、また、児童の養護のための施設設備及び役務の   提供の発展を確保する。 3.締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための   役務提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保する   ためのすべての適当な措置をとる。 第19条(親などによる虐待・放任・搾取からの保護) 1.締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他の者による監護を受   けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若し   くは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取り扱い又は搾取(性的虐待を   含む。)からその児童を保護するためすべての適当な立法上行政上社会上   及び教育上の措置をとる。←※2002.2.4 "不当な取扱い"追記 2.1の保護措置には、適当な場合には、児童及び児童を監護する者のために必要   な援助を与える社会的計画の作成その他の形態による防止のための効果的な手   続並び に1に定める児童の不当な取扱いの事件の発見、報告、付託、調査、   処置及び事後措置並びに適当な場合には司法の関与に関する効果的な手続を含   むものとする。 第23条(障害児の権利) 1.締約国は、精神的又は身体的障害を有する児童が、その尊厳確保し、自立   を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生   活を享受すべきであることを認める。 2.締約国は、障害を有する児童が特別の養護についての権利を有することを認め   るものとし、利用可能な手段の下で、申込みに応じた、かつ、当該児童の状況   及び父母又は当該児童を養護している他の者の事情に適した援助を、これを受   ける資格を有する児童及びこのような児童の養護について責任を有する者に与   えることを奨励し、かつ、確保する。 3.障害を有する児童の特別な必要を認めて、2の規定に従って与えられる援助は、   父母又は当該児童を養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与   えられるものとし、かつ、障害を有する児童が可能な限り社会への統合及び個   人の発達(文化的及び精神的な発達を含む。)を達成することに資する方法で   当該児童が教育、訓練、保健サービス、リハビリテーション・サービス、雇用   のための準備及びレクリエーションの機会を実質的に利用し及び享受すること   ができるように行われるものとする。 4.締約国は、国際協力の精神により、予防的な保健並びに障害を有する児童の医   学的、心理学的及び機能的治療の分野における適当な情報の交換(リハビリテ   ーション、教育及び職業サービスの方法に関する情報の普及及び利用を含む。)   であってこれらの分野における自国の能力及び技術を向上させ並びに自国の経   験を広げることができるようにすることを目的とするものを促進する。これに   関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。 第28条(教育への権利) 1.締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的に   かつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、  (a) 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする。  (b) 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、    すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを    利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合    における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。  (c) すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利    用する機会が与えられるものとする。  (d) すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、    かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。  (e) 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。 2.締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従   って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。 3.締約国は、特に全世界における無知及び非識字の廃絶に寄与し並びに科学上及   び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため、教育に関する   事項についての国際協力を促進し、及び奨励する。これに関しては、特に、開   発途上国の必要を考慮する。 第29条(教育の目的) 1.締約国は、児童の教育が次のことを指向すべきことに同意する。  (a) 児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで    発達させること。  (b) 人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。  (c) 児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身    国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。  (d) すべての人民の間の、種族的、国民的及び宗教的集団の間の並びに原住民で    ある者の理解、平和、寛容、両性の平等及び友好の精神に従い、自由な社会    における責任ある生活のために児童に準備させること。  (e) 自然環境尊重を育成すること。 2.この条又は前条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理   する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に1に定める原則が遵   守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる   最低限度の基準に適合することを条件とする。